Press Release

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三菱造船の低圧液化CO2貨物タンクに一般設計承認を発行 ~KF460鋼、PWHT省略技術を適用した液化CO₂貨物タンクに対する世界初の一般設計承認~

2025年12月5日

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、三菱造船株式会社が開発した低圧液化CO2貨物タンクに対し一般設計承認(GDA)を発行しました。本認証は詳細設計段階にある本タンクの規則適合性を確認するものです*¹。KF460鋼、PWHT*²省略技術を適用した液化CO₂貨物タンクに対するGDA発行は世界初の事例となります。

今回のGDAでは、審査範囲にタンク製造のボトルネックとなりうる溶接後熱処理(PWHT)を省略するためのEngineering Critical Assessment(ECA)*³と呼ばれる破壊力学的手法に基づいた貨物タンクの安全性評価プロセスを含んでいます。三菱造船のECAの評価プロセスに対しては、2024年9月にAiPを発行しています*⁴。

今般、本会は、同社による詳細な設計評価と、日本製鉄株式会社が開発したNK規格「KF460」に準拠した新規鋼材の材料特性に基づいたECAにより使用環境における構造安全性が証明された当該タンクに対し、本会鋼船規則「N編」に基づく審査を行い、PWHTを省略した場合においても所定の要件に適合することを確認したことから、GDAを発行しました。液化CO2貨物タンクに対するGDA発行は本会初となります。

カーボンニュートラル実現に向けた先進的な取り組みに対し、本会は安全性評価をはじめとした貢献に引き続き努めてまいります。

以上

低圧液化CO2タンクの搭載イメージ(提供:三菱造船)

*1 設計初期の段階あるいは特定の実装対象船舶が決定する前の段階で、国際条約や船級規則など既存の規制に基づき、設計を審査し、要件への適合の証明として発行する。後工程における規制面の手戻りの防止や、船級登録時の審査時間の短縮につながるとともに、設計状況の対外的なアピールの技術的根拠として活用することが可能となる。審査を行う段階に応じ、おおむね基本設計およびそれ以前においては基本設計承認(Approval in Principle、AiP)、詳細設計段階にある汎用的な製品に対しては一般設計承認(General Design Approval、GDA)が適用される。


AiPおよびGDAの位置づけ


*2 溶接後熱処理(PWHT)
溶接部を溶接後に約600℃付近まで再加熱・保持し、溶接部の残留応力を低減する熱処理。約600℃付近の高温まで再加熱・保持することから、本処理は熱処理炉により行うことが一般的。大型タンクを対象とする場合、炉のサイズとの関係でタンク製造上のボトルネックとなることが懸念されている。

*3 Engineering Critical Assessment(ECA)
溶接部などで発見された欠陥が、構造物の設計寿命期間中に崩壊等の終局的な状態に至る現象を引き起こすか否かを破壊力学に基づく評価で判定する手法。

*4 関連プレスリリース:5万m³級、2万3000m³級の大型液化CO2輸送船に対しAiPを発行
~CCSプロジェクトを支える液化CO2輸送船の安定的な供給の実現に向けて~
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/hp_pressrelease.aspx?id=12242&layout=1


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一般財団法人日本海事協会 技術本部 機関部
TEL: 03-5226-2022
E-mail: mcd@classnk.or.jp

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〒102-8567 東京都千代田区紀尾井町4-7
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