海象予報を用いたコンテナ積付設定の有効性及び安全性に関する研究
研究報告者
一般財団法人日本海事協会開発本部技術研究所 安全性評価部門
研究の概要
船体構造強度評価の観点からは、疲労荷重や最大荷重はHindcastを用いて過去の海象データから求めた波浪発現頻度表を参照して作成される。弊会規則・ガイドラインではコンテナの積付設定を行うにあたり、実遭遇海象を季節や航路ごとに考慮して作成した波浪発現頻度表を参照して設計荷重を設定することで船舶の積載能力を有効活用することを可能にしているものの、過去の海象データに依拠しているため、多くの航海に対しては過度に安全側になっている。
一方で、貨物や船体の安全輸送のために、波浪予報(Forecast)を用いることが一般化しつつある。藤本ら(2024)は波浪予報値と波浪追算値の比較を行い、予報期間が120時間であれば予報値は追算値に対して安全側の評価を与えることを確認したうえで、ロール角、ピッチ角、ピッチ角加速度に対して予測有義波高を用いた荷重の修正係数を提案している。ここで、予報期間が7日以上になると波浪予報の精度が悪化することから、最大でも5日程度の予報期間としている。波浪予報は一般に予測期間が長いと精度が低下することから、適用できる航海に制約はあるものの、波浪予報を用いることでより本船の積載能力を活用できることが期待される。
これまで、同様の趣旨の手法の検討例はあるものの、提案された荷重補正係数の妥当性を実船計測データとの比較により行った事例は見当たらない。そこで、本報告では、前報 日本海事協会(2025)「コンテナ船の実遭遇海象分析と航路・季節に応じた荷重補正係数の活用」にて分析を行ったメガコンテナ船の実船計測データと、以下に述べる算式から得られた船体運動予測最大値の比較を行うことで、短期航海における波浪予報の活用可能性を検討する。
掲載ジャーナル:なし
論文タイトル:なし